これは”真実の物語”である。
ホテル・ルワンダ HOTEL RWANDA
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STORY
 1994年、ルワンダの首都キガリ。ベルギー系の高級ホテル、ミル・コリンで働くポールは有能な支配人だ。通常では手に入らない高級な酒も、1本1万フランもするハバナ産の葉巻も、さまざまなルートを駆使して手に入れては、ホテルに集まるゲストを満足させている。

 ビジネスは良好だったが、このところポールは不穏な空気を感じていた。多数派のフツ族と少数派のツチ族が長年争ってきたルワンダでは、3年間続いた内戦がようやく終息し、和平協定が結ばれようとしていた。しかし、フツ族の民兵グループが市内を威圧的に練り歩き、ラジオでも公然とツチ族非難が繰り広げられていた。フツ族ではあるが穏健派のポールは民兵たちのやり方を嫌悪していたが、それを表に出すわけにはいかなかった。なぜならポールの妻はツチ族だからだ。

 ある晩、ホテルから帰ろうとしたポールは、市内で火の手が上がっているのを見る。家に着くと、妻と子供、そして命からがら逃げてきた知人たちが暗闇の中に身を潜めていた。「フツ族大統領がツチ族に殺された」というラジオの放送にポールは耳を疑う。フツ族大統領がツチ族と和平協定に応じたのにそんなことはあり得ない。しかし、大統領が何者かに殺されたのは事実だった。そして町中では、ラジオの報道を鵜呑みにしたフツ族が、武器を手にツチ族を襲撃しはじめていた───。

 翌朝、ポールの家に兵士がやってきて、彼が前に働いていたディプロマト・ホテルを暫定内閣の基地にするのでホテルの鍵を開けろと命令する。家に隠れていた人々は見つかり殺されそうになるが、ポールが渡した多額の賄賂でなんとかその場は切り抜けられた。行き場のない家族と隣人たちを連れ、しかたなくポールはミル・コリンに向かう。

 カメラマンのダグリッシュは狂乱と化した街で精力的に取材を続けていた。彼の撮ってきた映像を観てショックを受けるものの、これが世界で放映されれば国際救助が来ると確信するポール。しかしダグリッシュの答えは違った。「世界の人々はあの映像を見て──“怖いね”と言うだけでディナーを続ける。」ダグリッシュは国連のオリバー大佐にもカメラを向けるが、大佐は「我々は平和維持軍だ。仲裁はしない」と繰り返すことしかできない。

 海外資本であり、国連兵士もガードするミル・コリンには民兵たちもうかつには手が出せず、ホテルは難民キャンプのような様相を見せ始めていた。困惑するポールに、オリバー大佐はヨーロッパ諸国が介入の準備を進めており、数日でルワンダに到着すると話す。

 数日後、ポールたちの元に待ちに待ったベルギーの国連軍が到着した。しかし、それはルワンダ人を助けるためではなく、犠牲者の出ている国連兵士や職員、そしてルワンダにいる外国人を退去させるためのものだった。それは、世界がルワンダに背を向けたことを意味していた…。

 ポールは、避難民たちを守るために、あらゆる手を尽くしていた。ミル・コリンの親会社の社長に電話し、フランスに連絡して政府軍を止めてほしいと頼み、避難民たちには海外の要人にコンタクトを取るようにと指示を出す。しかし、危険はすぐそばまで忍び寄ってきていた。民兵グループのリーダーと会ったポールは「ホテルに近寄るなとビジムング将軍に言われているが、もうすぐ俺たちが仕切るようになる。ホテルにいる重要な裏切り者を渡せば、身内は救ってやってもいい」と言われ、絶望的な気持ちになる。

 そしていつしか、ホテルの難民は1268人に膨れ上がっていた……。




【ミル・コリン・ホテル】
国際ビジネスホテルの格を誇る、キガリきっての有名ホテル。宿泊料金は1泊125ドルで、これはルワンダ人の平均年収の半分。


【フツ族の民兵グループ】
フツ族至上主義の急進派の民兵組織インテラハムェのこと。大虐殺の2年以上前から、ツチ族や穏健派のフツ族の名をリストアップし、家を焼き討ちしたり、手榴弾を投げつけたりしていた。


【ラジオ】
大虐殺のプロパガンダ専門局RTLM。


【命からがら逃げてきた知人たち】
フツ族至上主義者たちは、地位のあるツチ族と穏健派のフツ族からなる処刑リストをつくり、虐殺がスタートするとまっさきに殺した。大虐殺がいかに周到に計画されていたかが伺える。


【大統領が何者かに殺された】
フツ族大統領殺害の黒幕は最後まで特定されなかったが、側近の急進派が怪しいとされた。有力とされていたテオネスト・バガソラ大佐は大統領夫人の親友だった。


【平和維持軍だ。仲裁はしない】
自衛以外での武器の使用は許されず、虐殺にも介入しないように命令を受けていた。


【フランスに連絡して】
ミッテラン大統領は、フツ族大統領の友人であり、フランスは94年の大虐殺までずっと、ルワンダに大量の軍事物資を送り込んでいた。


■おことわり■
「〜族」という呼称は、差別を連想させるものとして、現在公式の場では使用されておりませんが、本作では話をわかりやすくするためにあえて使用しております。ご理解いただきますようお願い申し上げます。



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